2022.03.24

借入=負債が開業にあたっての障壁になる!?人材派遣業開業資金の難しさを実践した実例を紹介

自己資金1000万円

融資実行額500万円

Tさんは大学卒業後、アメリカに留学。帰国後、通訳の仕事をしていました。英会話、英語コミュニケーションの需要増によって、自分のネットワークを使って通訳や翻訳を派遣する人材派遣業の仕事を始められないかと考えます。

大規模ではなく、数名、英語力に自信があり、メリハリのある(本来の)派遣の働き方を希望する人を、希望に応じて職場に派遣しようと考えました。

Tさん自身は代表者して通訳を続けながら「二足の草鞋」を履いて頑張ります。
実際にそのようなことが可能なのか、相談に行きました。

人材派遣業開業にはさまざまな条件があり!借入で資金調達できない!?

相談に行くと、「人材派遣業開業にあたってはいくつも条件があり、本当に大丈夫か?ほかの業種の開業とは違うよ」と念を押されました。

実は人材派遣業開業には条件があります。

①基準資産条件

・「資産-負債」≧2000万円
・資産のうち、1500万円以上が「現金」「預金」であること
・「資産-負債」が負債総額の7分の1以上

という条件をクリアしないと人材派遣業開業ができません。現金、預金が1500万円必要で得あり、創業融資での借り入れは「負債」になります。

Tさんは「小規模派遣元事業主」という規模が小さい派遣業として開業してもいいということなのですが、その場合も「資産-負債≧1000万円」「現金、預金≧800万円」が必要になるとのことです。

②事務所要件

派遣業開業にあたっては、基本的に「自宅開業」が難しく、「事業に使用し得る面積がおおむね20㎡以上あること」「キャリアコンサルティング向けの面談スペースを設ける」が条件になります。

1Kのマンションが大体20㎡ですから、丸々その広さが事務所スペースで、なおかつ相談ブースも作らなければいけません。

会社設立と株式発行による資金調達をメインに、借入は最小限に

アドバイスとして、資産1000万円については創業融資を使ってはいけない、使えばその分負債が増え、資産が減るという指摘を受けました。

Tさんの預貯金をかき集めれば何とかそれくらいは確保できそうですが、資金がショートするリスクもあります。また、相談ブースのある事務所も確保しないといけません。

方法として

・会社設立(株式会社)
・株式を発行し購入してもらい資本金にする(出資を募る)
・自己資金と資本金を合わせて1000万円にする
・事務所確保は別途考える

ということです。Tさんの理念に共鳴した友人知人やコネクションを駆使して、基準資産条件1000万円をなんとか確保しました。

あとは、事務所の開業資金です。これについては、地元信金に相談しました。信金提携の不動産屋さんを紹介してもらい、なるべく店舗造作がいらないように、居抜きで借りられそうな物件を探してもらいました。

運よく、以前小さな旅行代理店だった空き物件が見つかりました。旅行代理店にも相談ブースがあるので、これもそのまま流用できそうです。

結局、内装工事は最低限で、あとは什器備品と不動産契約資金について、500万円ほどを創業融資で申請しました。創業融資100万円分は「負債」になりますが、それでも資産1000万円基準はクリアできました。

この部分についても、出資(資本金)で補うこともできましたが、金融機関との取引歴は、事業を展開していくうえで重要であり、「お付き合い」を始めることの重要性をアドバイスしていただいたうえでの結論です。

まとめ

審査については資産1000万円を確保していることから、問題なく通りました。
何かあっても資本金で返済できますので、この金額であれば事業計画がある程度しっかりしていれば、審査のハードルは高くないです。

融資のハードルよりも、開業条件を満たす方がよほどハードルが高いというのが、人材派遣業の開業です。

Tさんの通訳人材派遣会社は小規模ながらも安定して引き合いがあり、ワークライフバランスと高収入をともに達成したい能力のある通訳の方が登録しています。


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