2022.03.21

日本政策金融公庫で創業融資を受ける際の面談対策のポイントと注意点

日本政策金融公庫で融資を受けるには、融資面談を避けて通ることはできません。融資面談は、融資担当者がいろんな質問をして答えを聞き、融資していいかどうか判断するものです。この面談をクリアしないと、融資に結び付かないのは言うまでもありません。融資面談の対策はどのようにすればいいのか、面談の際の質問のポイントなどについて解説しましょう。日本政策金融公庫で融資を受けたい方は、ぜひ参考にしてください。

日本政策金融公庫の面談の概要

最初に、日本政策金融公庫で行われる融資面談の、概要や流れなどを見てみましょう。

概要

日本政策金融公庫に融資を申し込むと、面談のスケジュールが決められます。面談日や場所は、融資を受ける側と、日本政策金融公庫の融資担当者双方の、都合を合わせて決められます。融資を申し込んだその場で、希望面談日を聞かれる場合もあるので、あらかじめ都合の良い日をいくつか、決めておくといいでしょう。

流れ

融資面談は、日本政策金融公庫の担当者が1名~2名に、融資を受ける側1人という、少人数体制で行われるのが通常です。ただし、制度融資を受ける場合は、信用保証協会の担当者が加わることもあります。面談は融資担当者が質問して、融資を受ける側が答える形で進められますが、もちろん融資を受ける側が質問してもかまいません。面談は、事業計画書などの資料をもとにしながら進められますが、これらの資料は事前に提出する場合と、当日持参する場合があります。当日持参する場合は、くれぐれも忘れないように注意しましょう。

質問の内容

融資に関する面談なので、質問されるのは新たに行う事業に関することが中心になります。そのため、事業の内容をしっかり把握していれば、難なく答えられることばかりです。とはいっても、面談に慣れている人はほとんどいないでしょうし、予想外の質問をされることもあるかもしれません。そこで、あらかじめ予想される質問だけは、スムーズに答えられるように、しっかり準備して面談に臨むことが大切です。

詳しい予想質問については後述しますが、「自己資金をどうやって作ったのか」という質問は、かなりしつこく聞かれるので、しっかり答えられるようにしておきましょう。特に新創業融資制度で融資を受ける場合は、「創業にかかる経費の1/10以上の自己資金が必要」と決められているので、その自己資金をどうやって用意したのか、詳しく聞かれることになります。

所要時間

面談の所要時間は、約1時間程度です。場合によっては30分~40分で終わることもあるようですが、面談時間が短くても、核心をついた質問が多いので、確実な受け答えを心掛けましょう。融資担当者は、何か隠しごとをしていないかという視点で質問してくるので、時には意地悪な質問や意表を突く質問もしてきます。面談時の受け答えに不審な点があったり、もっと事情を聴きたいようなケースでは、時間が長くなることもあります。

場所

融資の面談は、日本政策金融公庫で行われることが多いようです。しかし、場合によっては、融資の担当者が融資を受ける人の店舗や、事務所を訪問して面談するケースもあります。面談では、融資されるお金の使い道や、事業内容などについて聞かれます。融資担当者は質問しながら、答える人の態度を見て、事業者としての資質や人間性も、見極めようとしていると考えたほうがいいでしょう。当然ながら、店舗や事務所を訪ねて面談する場合は、作業場の整理整頓ができているか、従業員の態度などもチェックされています。

日本政策金融公庫の面談に必要な書類

日本政策金融公庫の面談を受ける際は、以下の書類が必要になります。

  • ・借入申込書
  • ・創業計画書
  • ・見積書(設備資金を申し込む場合)
  • ・源泉徴収票または確定申告書
  • ・運転免許証またはパスポート
  • ・住民票または住民票記載事項証明書

このほかに、直近6ヶ月分以上の預金通帳と印鑑も必要なので、忘れずに持参しましょう。

日本政策金融公庫の面談の注意点

面談に成功するためには、注意すべきポイントがあります。このポイントがわかっていないと、話が相手に伝わりにくくなり、融資の可能性が低くなってしまうので注意が必要です。面談の際の重要なポイントは、以下の5つになります。

・結論から話す
・絶対に口論しない
・NGフレーズに注意する
・できる限り添付書類を用意する
・開業までのストーリーを作っておく

1つずつ解説していきましょう。

・結論から話す

まず結論から話すと、相手に理解してもらいやすくなります。結論を後回しにすると、聞く人は話の要点がつかみにくくなってしまいます。そのため、結論を話してから、具体的な内容や結論に至る理由を説明するほうが、相手の理解を得やすいのです。ただし、面談の場でいきなり、結論から話そうとしてもうまくいかないので、面談を受ける前から、まず結論を先に述べる話し方の癖をつけておきましょう。

・絶対に口論しない

自分の主張をわかってもらいたいあまり、熱く語りすぎて気がついたら、相手と口論になっていたということもあります。しかし、当然のことですが、融資担当者と口論して、いい結果になるはずがありません。もし面談中に口論になったら、融資担当者に「カッとなりやすいタイプ」と判断されてしまうので、絶対に慎しみましょう。融資担当者と口論すべきではないことは、十分わかっているはずなのです。

それでも口論してしまうのは、一時の感情に流されやすい証拠ですから、経営上の問題でも、同様の結果になる可能性があります。それでは経営はうまくいかないので、そんな人に融資はできないと判断されてしまいます。面談の場では、理性的かつ論理的な話ができるように心がけましょう。担当者はわざとおかしな質問をしたり、意地悪な質問をする場合があります。それは、融資を受ける人を試している可能性もあるので、うっかり乗ってしまわないように注意することが大切です。

・NGフレーズに注意する

面談では、絶対に言ってはいけないNGフレーズがあるので、注意しましょう。NGフレーズとは、「いくらまで借りることができますか」と聞くことです。これは、「できるなら借りられるだけ借りたい」という、言葉の裏返しと見なされるおそれがあります。これでは、事業のために必要な金額を記載した事業計画書が、いい加減なものであると言っているのに等しいことになります。

しっかりした計画がなければ、返済できるかどうかわからないと判断されるため、融資を受けるのが難しくなるのは言うまでもありません。「借りられる金額を知っておきたい」というのは、借りる側の本音ですが、それをそのまま口にすると、いい結果につながらないことは覚えておきましょう。

・できる限り添付資料を用意する

面談の際に、できるだけ多くの添付資料を用意して、それを見せながら説明すると好感度が上がります。何よりも、しっかりした資料作りができるという評価になるので、必ず用意しましょう。言葉で話すだけでは、説得力に欠けてしまいます。しかし、資料としてまとめると、相手にもわかりやすく説得力を持ちます。さらに、資料を見ながら話せば、落ち着いて説明できるため、融資担当者にいい印象を与える効果もあります。ここで言う添付資料とは、これから始める事業がうまくいくことを、裏付けるためのデータです。たとえばレストランを開業するなら、以下のような資料を用意すると面談時に役立ちます。

  • ・地域の人口
  • ・ターゲットとする顧客の年齢層
  • ・ターゲットにできる顧客の予想人数
  • ・客単価
  • ・ターゲット層に合うメニュー例

これらの資料は、絶対必要なものではありませんが、作成しておけば、説得力と好印象を与えることができます。添付資料は、融資担当者と自分用の2部だけでもいいのですが、担当者が複数の場合も考慮して、もっと多めに用意しておくほうが安心です。

・開業までのストーリーを作っておく

面談の前に、開業するまでのストーリーを作っておきましょう。なぜその事業を始めようと思ったのか、その原点を話せば、担当者の心を動かすことができます。融資は、担当者の共感を得られなければ難しくなりますが、逆に共感してもらえれば、スムーズに話が進むことになります。そのためにも、担当者が感動するストーリー作りが大切です。

もちろん、ストーリーに嘘があってはいけませんが、開業への想いを熱く語れば、担当者の胸を打つことは間違いないでしょう。たとえば、「私は祖母の作る煮物が大好きだったので、その味を受け継いでおいしい総菜の店を出して、お客さんを幸せにしたい」と訴えてみましょう。そうすれば、ただ単に「総菜店を開きたいから融資して欲しい」と言うのとは、格段に違った印象を与えるに違いありません。

日本政策金融公庫の選考のポイント

日本政策金融公庫は公的な金融機関なので、民間の金融機関とは融資基準が異なります。それは、民間の金融機関が、いわば利潤を追求するものであるのに対して、日本政策金融公庫は100%政府出資の金融機関なので、利潤の追求のためではなく、国民のセーフティネット的な役割を担っているからです。民間の金融機関で借り入れする場合は、会社としての実績や担保がないと、融資が難しくなります。それでは、これから開業しようとする事業者は、融資を受けるチャンスを失うため、新しい会社が育つのが難しくなります。

しかし、このままでは日本の経済が活性化しないため、日本政策金融公庫のような公的機関が、民間ではできない融資を行っているのです。日本政策金融公庫では、「国民生活事業」と「中小企業事業」の2つの事業を展開しています。現在、日本の会社のうち約85%は中小規模事業者なので、これらの会社を支援するために、上記の2つの事業を行っているのです。「国民生活事業」は、小規模事業者の融資や経営上のアドバイスを行い、会社の運営をサポートしています。

「中小企業事業」は、中小企業や小規模事業者の融資や経営相談などを行いつつ、ベンチャー企業への支援や、民間の金融機関の融資を受けられない会社にも、支援の手を差し伸べています。それは、日本政策金融公庫が利潤を追求しない、公的機関だからできることなのです。とはいっても、日本政策金融公庫も金融機関である以上、「融資したお金を回収する」ことは重要です。しかし、民間の金融機関のように担保を取ったりせず、しっかりした事業計画と返済計画があれば、融資してもらうことができます。日本政策金融公庫はこのようにして、国民のセーフティネット的な役割を果たしているのです。

日本政策金融公庫の面談で聞かれる主な質問内容

日本政策金融公庫の面談で融資担当者が質問するのは、事業内容がわからないので質問するケースと、わかっているけど質問するケースがあります。わかっているのに質問するのは、どう質問に答えるかを見て、融資希望者の資質や人間性を見極めようとしているのです。つまり、「融資しても大丈夫な人か」「融資するに値する人なのかか」を、見ていると言ってもいいのです。

融資希望者の資質や人間性が、そのまま事業の成功につながるわけではありませんが、融資担当者は長年の経験から質問への答え方を見て、信頼できる人物かどうかを見極めているということです。事業が成功しないと、融資したお金は返済できなくなります。そうなっては困るので、まず成功できそうな人物かどうかを、判断しているわけです。そのため、事業内容を理解できているのに、時には理解できないふりをして、突拍子もない質問をしてくることもあります。

また、事業計画に偽りがないか確かめるために、何度も同じような質問を繰り返すこともあるかもしれません。そんな場合は、「さっき答えたのに」と思っても、決して態度に出さずに真摯に答えることが大切です。日本政策金融公庫の場合、たとえば創業融資の面談では、フォーマット通りの創業計画書を事前に提出しているので、ほとんどの場合、その計画書の順番通りに質問されます。創業計画書は以下の8つの項目に分かれているので、質問とそれに対する回答も、少なくとも8つあると考えればいいでしょう。

  • ・創業の動機
  • ・経営者の略歴
  • ・取扱商品・サービス
  • ・取引先・取引関係等
  • ・従業員数
  • ・借入の状況
  • ・必要な資金と調達方法
  • ・事業の見通し(月平均の売上)

まず、面談の前に上記の項目について、明確に答えられるようにしておく必要があります。なお、この項目は創業融資に限らず、他の融資でもほぼ同じことが質問されます。また、質問は1つずつ聞かれるとは限りません。創業の動機と経営者の略歴をまとめて聞かれたり、借入の状況と事業の見通しを一緒に聞かれるようなこともあるかもしれません。そのため、まとめて聞かれてもしっかり答えられるように、前もって練習しておきましょう。

もちろん、計画書にない質問が飛んでくることも考えられます。予想外の質問に事前に対処するのは困難ですが、予想される質問を洗い出して、それに対する回答を用意することはできますから、できる準備はすべてやっておきましょう。面談は一発勝負ですから、しっかり対策をしておくことが大切です。ちなみに、計画書に添った質問例として、以下のような内容が考えられます。

・創業することにより、社会にどう貢献するのか、経営理念を聞かせてください。また、なぜこの場所で創業するのですか。

  • ・これまでの経歴から、創業者の強みを教えてください。
  • ・取り扱い商品やサービスの強みと、他社と差別化できる理由を教えてください。また、競合他社にどのような会社があり、どんな点が競合他社より優れていますか。
  • ・取引先はどんな会社で、その会社を取引先に選んだ理由は何ですか。
  • ・従業員にどんな社員教育をしていますか。
  • ・自己資金をどうやって用意したのか教えてください。また、借り入れ状況やクレジットカード、カードローンの入出金状況も教えてください。
  • ・資金繰り計画について教えてください。
  • ・売上の根拠を説明し、今後のビジネスモデルを教えてください。

ざっとこのような質問例が想定されます。質問されて答えに詰まるようでは、融資してもらうのは厳しくなるので、よどみなく答えられるようにしておきましょう。事業を始める人の中には、民間の金融機関で融資を受けるのは大変だけど、日本政策金融公庫は担保も保証人もいらないから、簡単だと言う人がいます。しかし、これは誤りです。むしろ民間のほうが、担保を取るため楽に融資が受けられると、思ったほうがいいかもしれません。日本政策金融公庫は担保や保証人が必要ない分、書類審査が厳しいことは知っておいたほうがいいでしょう。

自己資金をどうやって作ったのか

冒頭で触れましたように、融資担当者が一番知りたいのが、「どうやって自己資金を作ったのか」ということです。そのため、自己資金の出どころを証明するために、事業で使っている通帳や、事業の元手が入っている個人の通帳を見せる必要があります。通帳が複数あれば、すべて持参して担当者に開示しましょう。自己資金について聞かれる場合、どうやって自己資金を貯めたかによって、以下のように質問内容が変わります。

給与を貯めて自己資金にした場合

前職の給与や退職金を貯めたのであれば、通帳を見ればわかるので、あまり詳しく聞かれることはありません。ただし、給与が現金払いの場合は、通帳に記録がないので給与明細書などの提出を求められます。

自己資金が贈与されたお金の場合

創業するにあたって、親や親戚などから、資金を贈与してもらう場合があります。この場合は、親や親族に確かに贈与したかどうか、確認されたり関連する通帳の提出を求められたりします。

家賃やローン等の遅延がある場合

日本政策金融公庫で融資を受ける場合は、家賃や公共料金、クレジットカードやローンの支払い、携帯電話料金、住宅ローンや固定資産税の支払いなどの遅延があると、審査が厳しくなるので注意が必要です。過去1年以内に、これらの中のいずれかの遅延があると、融資を受けるのは難しいので、融資の申し込みを先延ばしにしたほうがいいでしょう。ちなみに、携帯電話料金の遅延が問題になるのは、毎月の携帯料金に加えて、スマホなどを買い替えた場合の月割り料金が含まれるからです。スマホの買い替え料金はローンに該当するため、支払いが遅れると、ローンの遅延として扱われることになります。

面談後の流れ

日本政策金融公庫の融資担当者との面談が終わると、その内容をもとに審査が行われます。通常、審査期間はだいたい2週間から3週間くらいです。面談の中で追加書類の提出を求められた場合は、提出するまで審査がストップしてしまうので、必ず出すようにしましょう。また、審査の前に日本政策金融公庫の担当者が、店舗や事務所を見にくることも多いようですから注意が必要です。審査に通ると、契約書が郵送されてくるので、金額や金利、返済期間などの記載内容をチェックしましょう。内容に間違いなければ、署名捺印し必要書類を同封して返送すれば、それから数日後に融資金が指定口座に振り込まれます。

まとめ

日本政策金融公庫で融資を受ける前に、面談があるのでその対策を取る必要があります。面談の結果がよくないと融資してもらえないので、面談をおそそかにすることはできません。面談は融資担当者と、融資を受ける人の2人で行うケースがほとんどで、提出した事業計画書をもとに面談が進められます。自己資金をどうやって貯めたのか、という質問は必ず聞かれるので、明確に答えられるようにしておきましょう。

面談時間は長くて1時間程度ですが、何か不審な点があればもっと長くなることもあります。融資担当者の質問には、結論から話すようにしましょう。そのほうがわかりやすいので、話がスムーズに進みます。面談の際は、絶対に担当者と口論しないように注意して、できる限り添付資料を用意し、開業に至るまでのストーリーを作っておくのが、面談を有利に進めるコツです。


日本政策金融公庫・面談対策