2022.03.21

企業が利用できる資金調達の種類と具体的な活用方法

資金調達を円滑に行うことは、安定した企業経営にとって非常に重要です。特に起業時には、資金調達をしっかりすることが大切です。しかし、資金調達の方法は、誰もが知っているわけではありません。また、資金調達の方法はいろいろありますが、どの調達方法が適しているかは、事業内容や事業規模によって変わります。ここでは、資金調達の種類や方法、資金調達時の注意点などについて解説します。

資金調達の種類

企業の資金調達法には、「出資」「個人借入」「融資」「補助金・助成金」の4種類あります。それぞれ、どんな特徴があるのか見てしましょう。また、併せてメリットやデメリットについても解説します。

資金調達をするための方法1「出資」

出資には、ベンチャーキャピタルからの出資と、個人投資家からの出資があります。どちらも、企業経営に必要な資金を出資してもらう点は同じです。

メリット

ベンチャーキャピタルも個人投資家も、投資額と公開後の株式の差額で利益を上げるので、投資してもらっても返済義務がないのが大きなメリットです。また、ベンチャーキャピタルも個人投資家も、多くの企業に投資しているので、企業経営上の豊富な知識を持っています。そのため、出資してもらいながら、さまざまなアドバイスを受けることができるという、メリットもあります。

デメリット

ベンチャーキャピタルや個人投資家は、投資が目的なので、いつ出資を打ち切られるかわならいというデメリットがあります。また、経営方針などについて、ベンチャーキャピタルや個人投資家から、意見を出されることもあります。もちろん資金を出してもらっている以上、これらの意見を無視することはできません。意見を出すだけならいいのですが、投資家によっては、経営に深く介入しようとするケースもあるので注意が必要です。

資金調達をするための方法2「個人借入」

資金調達には、個人で借り入れする方法もあります。銀行の個人ローンや、親族・知人などからの借り入れなどがこれに当たります。

銀行の個人ローンのメリット

銀行のローンの中で、住宅ローンや自動車ローンは使用目的が限定されますが、フリーローンと呼ばれる、使用目的を限定しないローンもあります。このフリーローンを利用すると、企業の資金に役立てることができます。一般に、銀行でローンを組むのは難しいとされますが、個人ローンは個人の信用があれば、簡単に借り入れできる場合も多いようです。手続きもそれほど難しくないので、申し込みやすいのもメリットと言えるでしょう。

銀行の個人ローンデメリット

個人ローンは、事業用を目的としたローンではないので、利息が高いのがデメリットです。

親族・知人からの借入のメリット

銀行でローンを組むには、審査に通らなければなりませんが、親族や知人から借り入れするのであれば、審査もなくいろんな面で融通がきくので便利です。他人からの借り入れなのに、経営権を保持できる上に、自由な条件で借りることができるのも、親族や知人からの借り入れの特徴と言えるでしょう。もし返済が困難であれば、返済を猶予してもらえる可能性が高いのも、他の融資にはない大きなメリットです。

親族・知人からの借入のデメリット

親族や知人から借り入れすると、企業の経営がうまくいかなくなった場合に、トラブルが起こるおそれがあります。場合によっては、貸してくれた親族や知人を巻き込んで、倒産する可能性もあるので注意が必要です。このような問題が起きると、親族や知人という親しい間柄であるために、大切な人間関係を壊してしまうおそれもあります。

資金調達をするための方法3「融資」

融資とは、返済することを条件に、借り入れする資金調達法です。融資には、以下のような種類があります。

  • ・制度融資
  • ・銀行からの融資
  • ・信用金庫からの融資
  • ・公庫融資
  • ・マル経融資

制度融資とは

制度融資は、銀行などの金融機関の貸付と、信用保証協会の信用保証によって借り入れするものです。地域によっては、行政が利息や借入金の一部を、負担してくれる場合もあります。借入金額の上限は3千万円で、金利は2.1%~2.7%までとなっていますが、行政が一部負担してくれる場合は、もっと金利が下がることもあるようです。返済期間は、運転資金として借り入れすると7年、設備資金の場合は10年が目安となっています。

制度融資のメリット

制度融資は金利が安く、起業前でも利用できるのが大きなメリットです。借入金額にもよりますが、担保不要で第三者の保証が必要ないので、借り入れしやすいのが特徴です。制度融資に必要な信用保証協会は、全国に52箇所あるので、利用しやすいのもメリットと言えるでしょう。信用保証協会は、各都道府県に1箇所ずつあるほか、横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市、大阪市にもあります。

制度融資のデメリット

制度融資は、申し込みから借り入れまでに、時間がかかるのがデメリットです。通常、融資までに1カ月以上かかるので、利用する場合は早めに申し込みましょう。また、借入分の利息のほかに、保証料の利息も必要になります。

銀行融資とは

銀行融資は、銀行から借り入れする資金調達法です。銀行で融資してもらうには、企業としての信用が必要なため、起業して間もない会社の場合は、審査が通りにくいという難点があります。しかし、銀行で融資を受けられれば、会社の信用が上がるので、ある程度経営が軌道に乗ったら、銀行融資に挑戦してみたいものです。

銀行融資のメリット

銀行から融資が受けられれば、会社として信用がある証しとなります。また、銀行から融資を受けると、顧客やビジネス上有益な企業を、紹介してもらえる可能性があります。これは、銀行から信用を得ているから、紹介してもらえるわけです。これも、銀行から融資を受ける、大きなメリットと言っていいでしょう。

銀行融資のデメリット

銀行で融資を受けると、金利負担が発生します。また、起業直後など、会社の信用がない状態では、融資が困難なのもデメリットになります。

信用金庫融資とは

銀行の中でも、信用金庫から借り入れする資金調達法です。銀行では融資が受けられないケースでも、信用金庫なら融資してもらえることもあります。ただし、起業直後は融資してもらうのが困難なので、ある程度実績を積んでから利用するといいでしょう。

信用金庫融資のメリット

信用金庫から融資を受けると、顧客やビジネス上有益な企業を、紹介してもらえることがあります。そこから、新たな取引につながる可能性もあるので、このメリットは見逃せません。また、地域密着型の会社であれば、融資してもらえる可能性が高いのも、信用金庫融資のメリットと言えるでしょう。

信用金庫融資デメリット

信用金庫で融資を受けると、金利負担が発生します。銀行より融資が受けやすいものの、ある程度の実績がないと、難しいという難点もあります。

公庫融資とは

公庫融資とは、日本政策金融公庫の国民生活事業が管理する、「新創業融資制度」に申し込んで融資を受けるものです。このほかに、国民生活事業には「新規開業資金」もありますが、こちらは難易度が高いのでおすすめできません。公庫融資を利用すると、上限3千万円まで借り入れできます。そのうち、運転資金として利用できるのは1千5百万円までで、金利は0.66%~2.80%という低金利なので、非常に利用しやすい融資制度と言えるでしょう。公庫融資を使って、設備資金として融資を受けると15年以内を目途に、運転資金の場合は5年以内が返済の目安となっています。公庫融資への申し込みは、日本政策金融公庫各支店にある、国民生活事業の窓口で行うことができます。

公庫融資のメリット

公庫融資は、起業前でも申し込めるのが大きなメリットです。担保が不要で、借り入れ金額によっては、第三者の保証も必要ないので、実績のない会社でも借りやすくなっています。これから起業したい人は、まず公庫融資に申し込みましょう。また、申し込んで2~3週間で審査結果がわかるレスポンスのよさも、他の融資にない特徴として挙げられます。

公庫融資のデメリット

公庫融資を受けると、金利負担が発生します。

マル経融資とは

マル系融資は、商工会議所の推薦があれば借り入れできる融資制度です。借入可能額は上限2千万円、金利1.21%と、あらゆる融資の中でもっとも低くなっています。そのかわり、起業して1年以上の実績がないと借り入れできないため、起業当初は制度融資や公庫融資で借り入れして、1年たったらマル軽融資に切り替えれば、金利面で有利なのでおすすめです。

マル経融資のメリット

金利が低く、しかも無担保無保証なので、非常に借りやすいのがメリットです。

マル経融資のデメリット

事業実績が1年以上ないと申し込みできないので、起業用資金の調達には向いていません。

資金調達をするための方法3「補助金・助成金」

補助金・助成金は、国や地方自治体が行っています。補助金や助成金は数が多く、申請しやすいものも多いため、うまく活用すれば、起業資金や会社の運営資金の調達に役立ちます。

補助金・助成金とは

補助金・助成金とは、起業する場合の資金や、会社の運営資金として借り入れできるものです。これらの補助金・助成金は、運営する自治体によってさまざまで、上限金額や補助率なども異なります。

補助金・助成金のメリット

起業する前でも起業後でも、申請できる場合が多いのが、補助金・助成金の特徴です。また、基本的に補助や助成を受けた金額については、返済する必要がありません。そのため、資金繰りが楽になるのも、大きなメリットと言えるでしょう。しかも、助成金の場合はかなり高い確率で申請が通るので、資金繰りに困っている事業者は、申し込んでみてはいかがでしょうか。

補助金・助成金のデメリット

常に募集していないのが、補助金・助成金のデメリットです。そのため、利用したくても利用できないこともあります。また、補助金の採択率は約15%しかないので、申請してももらえない確率が高いのも、デメリットと言えるでしょう。しかも、補助金は後払いなので、一度自己負担で資金を用意しなければならない、というデメリットもあります。

企業に利用できる補助金・助成金の種類

起業に利用できる補助金・助成金は、以下の4つに分けられます。

  • ・経済産業省系の補助金・助成金
  • ・厚生労働省系の補助金・助成金
  • ・自治体独自の補助金・助成金
  • ・その他の補助金・助成金

それぞれ、どんな特徴があるのか見てみましょう。

経済産業省系の補助金・助成金

経済産業省が中心となって行っている補助金・助成金です。中小企業を活性化し、女性や若者が起業できるチャンスを増やすために設けられました。補助金を受けるには、補助金ごとに募集要項が異なるので、申請したい補助金の募集用件に沿って応募し、審査してもらう必要があります。採択率は補助金によってまちまちで、中には数%しか合格しないものから、採択率90%以上という、非常に受かりやすい補助金まであります。

また、補助金や助成金によっては、年に数回応募できるものもあります。このような補助金は、年度の最初の募集ほど採択率が高く、あとになるほど採択率が下がる傾向があります。これは、後半になると予算が残り少ないために、応募数が多いと審査が厳しくなるからです。そのため、年に数回募集がある補助金や助成金に申請する場合は、年度の初めに応募すると、採択される可能性が高くなるので覚えておきましょう。

「ものづくり補助金」

経済産業省系の代表的な補助金に、「ものづくり補助金」があります。主に中小規模の事業者向けの補助金で、新しいサービスや試作品の開発、設備投資などに利用することができます。補助してもらえる金額が大きいので、多くの事業者が応募する補助金です。

「事業再構築補助金」

予算1兆円という破格の規模を持つ補助金で、補助額の上限が1億円まであるため、新たな設備投資など、高額な費用が必要な場合に、応募する事業者が多い補助金です。予算規模が1兆円と膨大なので、採択される可能性が高いのですが、応募するには、しっかりした事業計画書を作成する必要があります。採択されると大きな金額が入るので、新たな事業や、大規模プロジェクトを予定している事業者に、適した補助金と言えるでしょう。

<h4厚生労働省系の補助金・助成金

厚生労働省系の補助金・助成金は、主に従業員のキャリアアップのために活用されています。他の補助金と違って、要求される条件を満たしていれば、必ず採択されるのがこの補助金の特徴です。従業員のスキルアップに活用する補助金なので、使用目的が明確なのも、特色として挙げられるでしょう。また、スキルアップだけでなく、正社員登用前の試用期間の賃金も、この補助金でまかなうことができます。試用期間中に支払う賃金は、中小規模の事業者にとって大きな負担となりますが、この助成金を使えば無理なく新規雇用ができるので、新たに人員を採用する場合に申請したい補助金です。

<h4自治体独自の補助金・助成金

全国の自治体が、地域の活性化を目的として設けている補助金・助成金です。その地域の中で、新たに起業する場合などに活用されています。全国の地域ごとに設けられた補助金なので、内容が多岐にわたっているのが特徴です。ちなみに、自治体によって、この制度を積極的に活用している場合と、そうでない場合があるようです。これから起業する場合は、地域の自治体の補助金・助成金について、調べてみるといいでしょう。中には、ほとんど知られていない助成金もあるようですが、この場合は競争率も低いので、応募すれば採択される可能性が高くなります。
例として、東京と大阪の補助金を1つずつご紹介してみましょう。

「創業助成事業」東京都

東京都で起業した中小規模事業者の中で、起業から5年未満の事業者、およびこれから起業を考えている方が、応募できる補助金です。事業所の家賃や人件費、広告費などが、補助率3分の2の割合で、最大300万円まで補助してもらえます。起業してしばらくの間は、売り上げも思うように上がらないため、その間の必要経費に頭を悩ます事業者は少なくないので、この補助金に応募してみるといいでしょう。

「大阪起業家グローイングアップ事業」大阪府

大阪府内の中小規模事業者と、これから起業する人を対象にした補助金です。採択されると、事業に関する費用を補助率2分の1の割合で、最大100万円まで補助してもらえます。

<h4その他の補助金・助成金

上記の補助金や助成金は、国や自治体などの公的な機関が行っているものですが、これ以外にも、大手企業や政府系金融機関、財団などが、独自に実施している補助金・助成金も数多くあります。補助金や助成金にはさまざまな種類があり、魅力的なものほど競争率が高いのは、当然のことと言えるでしょう。補助金や助成金は、優れたビジネスプランを持つ、将来有望な企業を支援するものなので、採択率は厳しい傾向にありますが、チャレンジすれば、大きなチャンスをつかめる可能性もあります。

補助金や助成金は、原則返済不要なのが大きなメリットですが、ほとんどの補助金が後払いなので、一度は自己資金で立て替えなければならないという、デメリットがあります。しかし、補助金や助成金の審査に通ると、それを担保に、公的な金融機関から融資してもらえる可能性が高いので、必ずしも自己資金で立て替える必要はありません。このような知識があると、さらに補助金を有効に活用することができるので、覚えておくといいでしょう。

補助金や助成金の申し込みには手間がかかり、振り込みまでに時間がかかりますが、チャレンジする価値は十分にあります。補助金・助成金はすぐに入金されるわけではないので、今すぐ必要な場合は利用できませんが、しっかり計画を立てて申し込めば、役に立つ可能性の高いものです。もちろん、補助金や助成金だけに頼っていると、経営が危うくなるので、融資や出資、クラウドファンディングなども視野に入れて、資金調達を準備する必要があります。

企業の目的・事業モデルにおすすめの資金調達方法

ここまででお分かりのように、起業したばかりの会社が融資を受けるのはかなり困難です。しかし、「制度融資」と日本政策金融公庫の「公庫融資」は、比較的ハードルが低く、起業間もない会社でも融資が受けやすくなっています。しかも金利も低いので、まさに起業したての会社の資金調達法として、打ってつけと言えるでしょう。しかし、スムーズに融資を受けるためには、押さえておくべきポイントがあります。そこで、会社の目的や事業モデル別に、最適な資金調達法を見つけるコツを、3つのパターンに分けてご紹介しましょう。

起業して間もない会社の場合

起業したばかりで実績のない会社は、会社としての信用がないため、銀行での借り入れはかなり困難です。しかも、起業したての会社は何かと物入りで、運転資金も必要なため、資金不足に陥ることもあります。そのため、起業したばかりの会社には、以下のような返済義務のない資金調達法が適しています。

  • ・日本政策金融公庫の融資
  • ・ベンチャーキャピタルの出資
  • ・個人投資家の出資
  • ・クラウドファンディング

ベンチャーキャピタルと個人投資家は、多くの企業に投資しているので、起業したばかりの会社でも、投資してもらえる可能性があります。ベンチャーキャピタルや個人投資家は、企業に投資して、公開後の株式との差額で利益を得ているので、投資してもらっても返済の義務はありません。ただし、ベンチャーキャピタルも個人投資家も投資が目的なので、いつ投資をやめるかわからないため、安定した資金源にはならないという問題があります。

また、投資する以上、会社に対して意見する権利があるので、会社の経営方針に介入してくるおそれもあります。クラウドファンディングは、インターネットを通して事業内容を広く宣伝し、共感したり応援してくれる人から、出資してもらう資金調達法です。多くの人の共感を呼ぶ事業であれば、莫大な資金を集めることも可能なので、新たな資金調達法として注目されています。

ベンチャー企業の場合

ベンチャー企業は、最新技術を使った事業を行う会社で、多くの場合それほど規模が大きくありません。しかし、IT業界などでは、ベンチャー企業から始まって、世界的な企業に発展するケースもあります。ベンチャー企業には、以下の資金調達法が適しています。

  • ・日本政策金融公庫の融資
  • ・ベンチャーキャピタルの出資
  • ・個人投資家の出資

スモールビジネスの場合

スモールビジネスとは、個人や少人数で行う事業のことです。小さなスペースで、パソコンを使って行う事業が多いのが特徴です。スモールビジネスには、以下の資金調達法が向いています。

・日本政策金融公庫の融資
・クラウドファンディング

まとめ

企業が利用できる資金調達法には、さまざまな種類があります。企業の資金調達法は、大きく分けて「出資」「個人借入」「融資」「補助金・助成金」の4つに分けられます。出資は、返済不要の資金なので、利用しやすい反面、出資者から会社の経営に、介入されるおそれがあるので注意が必要です。個人借入は、銀行の個人ローンや親族、知人などから借り入れるもので、借りやすい反面、トラブルを招きやすいというデメリットがあります。

融資には制度融資のほか、銀行や公庫からの融資などがあります。補助金・助成金は国や地方自治体が行うもので、起業前でも申請できるのがメリットですが、常時募集していないのが難点です。補助金・助成金には、経済産業省系や厚生労働省系のほか、各自治体独自のものもあります。このように、資金調達法はいろいろあるので、事業の種類や事業規模などを考慮して、申し込むといいでしょう。


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